2014年1月12日(月)2015年展示初め
あけましておめでとうございます。
東京・千駄木のギャラリーKINGYOの展示に参加致します。
小作品1点展示しております。
ご高覧いただければ幸いです。
GALLERY KINGYO
〒113-0022
株式会社SD602
文京区千駄木2-49-10
http://www.gallerykingyo.com/
2014年9月20日(土)31536000分の1のいま展終了。
東京・京橋のギャラリイKにて開催されていた企画展が本日までで終了いたしました。
嬉しいことに左の作品はお買い上げいただくこととなりました。
今年に入って4点の作品がお嫁入りしていきましたが、新しい場所でどのように空間を彩っているのか気になるところではあります。
最近、作品はこちらの主義主張を訴え空間を占拠するものではなく、
茶人が“茶碗を愛でるように”愛されていて欲しいと思うようになりました。
仕覆に包んで桐箱に納めて宝物のように扱って欲しいわけではありませんが、いつも眼で愛でていて欲しいという願望。
私は骨董市や陶器市で運命的な出会いで購入したコーヒーカップやビアグラスを日々使ってほっこり満たされています。そんな気持ち。いや、余裕があったら作家物の茶碗買ってお茶立てて日々愛でたいのですが。。
まあ大作ではそうはいかないのだと思いますが、そろそろこの作風でコンクール用大作にも挑戦していきたいと思います。
2014年8月11日(月)追悼・ロビンウィリアムズ
ついに長年愛用していたネットブックPCが壊れ、更新停滞していました。
大学を卒業した年に買ったので、約6年、私と苦楽を共にしてくれたダイナブック。
論文や重い画像処理等、スペックを超えた重労働をさせていたためか、画面が表示されなくなりご臨終となりました。
まぁPCの寿命は5年ほどなので、寿命と考えていいでしょう。
久しぶりの更新がこのような内容で恐縮ですが、タイトルにある通り、今日は私の最も敬愛していた俳優、ロビン・ウィリアムズの訃報を受け、行き場のない悲しみの捌け口として日記を書きたくなってしまいました。(タイトルの日付はロビンの命日)
中 学生の頃に初めて『パッチアダムス』という映画を観て以来、彼の出演作はほぼすべて観ました。初めて自分で買った映画のDVDは『奇跡の輝き』。
芸能人の 訃報で泣く事なんて自分にはあり得ない事だと思っていたのに、携帯で彼の訃報のニュースを見つけたときの言葉にならない衝撃。
自然と涙が出てしまうものな のですね。
『グッドモーニングベトナム』、『フィッシャー・キング』、『グッドウィルハンティング・旅立ち』、『いまを生きる』、『レナードの朝』、『アンドリューNDR114』…
彼の出演作はどれも心に染み入る名作ばかりです。コメディなら『RV』や『フラバー』、『ジュマンジ』などなど。
彼の映画にはよく独壇場の演説のようなシーンが入りますが、その語り方がとても好きだった。持前のユーモアと、人を惹きつけるエスプリに富んだ語り口。そして何より心の奥底まで覗き込んでくるかのような“眼の演技”。
重度の鬱病とパーキンソン病に苦しんだ末の自殺だと報じられており、なおさらやるせない気持ちでいっぱいです。芸術家や芸能人にも自殺は多いですが、背負ったものが大きいほど、苦しみは大きくなるものなのでしょうか。
人の“痛み”は相対化出来るものではないので、彼の苦しみがどれほどのものだったのか想像もつきませんが、ただただ、もっとこの人の映画が観たかった、老成して、さらに深まり表現されるものを観てみたかったという無念さと寂しさでいっぱいです。
哲学者・キェルケゴールの、「自殺者は熟慮の結果自殺するのではなく。むしろ熟慮によって自殺する」という言葉を思い出しました。
物事を深く考えることの出来る人でなければ、あんな演技は出来ないのではないかと思う反面、それは両刃の剣でもあるのだと思います。
個人的に、“鬱病”に対するイメージは、鬱病という病名が付けられる免罪からの甘えであったり、自己の努力不足から来る無能さからの逃避のような鬱病もある反面、本当に逃れようのない苦悩による鬱病もあるのだと実感しました。
どちらもまとめて鬱病と呼ばれる事には、これまたやるせない気持ちです。仮面鬱病とか逃避型鬱病と真正鬱病は分けて呼ばれて欲しい。
本人の知らない誰かが、その人の死をどうしようもなく悲しく思い、人が一人、この世からいなくなることの重みを知る。自死という最期を肯定的に捉えるなら、彼らしい最期であったとも思います。病死や他殺は似合わず、考えることによっての死。やはり人は生きたようにしか死ねないのではないでしょうか。
笑いと感動と人生の哲学を、ロビンに与えてもらいました。作品の中で彼は生き続け、これからも人々に感動を与え続けていくのでしょう。
『奇跡の輝き』のように、自殺した者が行くという地獄から、彼を必要としているたくさんの人々が、彼を天国へと救い出してくれることを願っています。
心よりご冥福をお祈りいたします。
2014年8月19日(火)ギャラリイKにて展示のお知らせ
昨年個展をさせていただいた東京・京橋のギャラリイKの企画展に参加いたします。
遠方にも関わらず、展示の機会を与えてくださったオーナー様に感謝。
以下は展示概要↓
「31536000分の1のいま」展
地球45億年の歴史を1年にたとえるならば、産業革命以後の200年はたったの1秒
あまり。その1秒で地球を破壊しつつあるのが人間なら、その1秒に芸術のめざま
しい進化を見せたのも人間。はたして私たちが出会い、共存しているこの1秒は
最後の1秒でしょうか、それとも私たちの表現と創造が次の1秒へとメッセージを
繋いでいくのでしょうか。
( 31536000という数字は一年間の秒数をあらわしています。)
<会期>
2014年
Part 1 9月8日(月)~13日(土)
Part 2 9月15日(月)~20日(土)
私はPart2にて新作の小作品2点出品予定です。
ご高覧いただければ幸いです。
2014年5月13日(火)やきもの美術館探訪~三河内焼美術館・佐世保市うつわ歴史館・九州陶磁文化館~
本日は長崎県佐世保市に所用があったため、その周辺の美術館めぐりをすることに。
まずは三河内焼美術館へ。
GWに訪れた三河内陶器市の際に、美術館の駐車場に車は停めたのに、陶器市で疲れて美術館を観ることが出来なかったので、再びの訪問となりました。
思っ ていたよりも広めの展示室に現代の窯元の展示紹介スペースと、古平戸から近代の三河内焼まで代々の陶工の銘品を展示するスペースに分かれ、三河内焼の歴史 と現在が概観できる美術館となっていました。平戸藩御用窯の頃の繊細な白磁細工。龍というモチーフは好みではないとしても、繊細優美な白磁の美しさには魅 かれるものがありました。
お隣にある佐世保市うつわ歴史館はパネルと模型等でやきものの歴史や三河内焼の製作工程をスクリーンで放映しており、動画の解説に合わせて模型が点灯したりとても解り易い展示となっていました。
平日の午前中ということもあり、美術館も歴史館も来館者は私と年配の男性1人のみで閑散としていましたが、地方の美術館ってやはりどこもそういうものなのですね。
三河内焼の案内リーフレット等のセンスが良く、つい全種類もらってきてしまいました。(↓画像参照)
来館者アンケートに答えるだけで、ポストカートもいただけてなんだか得した気分です。
その後は九州陶磁文化館へ。
三河内焼美術館から車で10分ほどの小高い丘の上に九州陶磁文化館はあります。
こちらも有田焼陶器市に行った際に寄ろうと思いつつ、キャパオーバーで断念したのでいつか訪れようと思っていました。
しかし、美術館のポスターに載っていた企画展示室休業日を展示日と見間違え、お目当ての「新収蔵品展」と「現代の九州陶磁展」は16日からの開催でした。。
仕方なく常設展とコレクション展をじーっくりと鑑賞し、美術館のカフェでランチにしました。
食後の珈琲(¥450)では約200年前の古伊万里の蕎麦猪口で珈琲をいただきました。
美術館のランチは企画展に合わせたメニューやうつわに凝っていたりと、楽しめることが多々あるので、美術館に行くときはなるべく館内で昼食をとるようにしています。
このカフェでは大皿・小皿・ミルク入れ・スプーンに至るまですべて伊万里焼で統一されていて、トイレまで“色絵トイレ”が設置されており、洗面台やペーパーカバー・コンセントカバーまで伊万里の色絵磁器で統一されていて、楽しませていただきました。
美術館の壁面や、街のいたるところで見掛ける伊万里焼陶板タイルの活用といい、産地の様式がこの地の生活と人々の感性に深く浸透している事を実感することができました。
16日以降、また新しい展示を観に再び訪れたいと思います。
↓画像は三河内焼案内リーフレット
2014年4月29日 有田陶器市
今日は佐賀県有田町で開催されている日本一の規模を誇る“有田陶器市”へ。
朝5時半に起床し、6時に家を出て7時に会場に着くという気合の入りっぷり。
これより遅いと大渋滞なので、「陶器市は混まないうちに早く良い品を買い、混まないうちに早めに帰る」が鉄則らしいです。
画像(↑)は今日の戦利品。
今年3月まで住んでいた茨城県笠間の陶器市とは違い、個人作家のブースより、焼物販売業者の店舗が圧倒的に多く軒を連ね、町全体がお祭りと化していました。
焼物の種類は、有田ですから伊万里焼に代表される白磁に染付の文様が描かれたものがほとんどですが、他の産地の作品や様式にこだわらない若手の作品も少しながら発見することが出来ました。
笠間では陶器や磁器に限定せず、多種多様な作家がテントごとに出店されていて、作家から直接作品を買えるところも魅力でしたが、有田は規模が大きく、市場も大きい為店舗ごとに販売方法が業務化されている分、作家と直接とやり取りという事は少ないように感じました。
笠間のアットホームな陶器市が懐かしく思い出されます。
陶芸家が同じ「焼きもの」だからとピザの販売していて、陶器市で食べるそれは場の空気も相まって絶品でした。
昨年までのこの時期には、笠間(茨城県)と益子(栃木県)の陶器市を楽しんでいて、地元から近い有田もいつか行きたいなー、と漠然と希望していたのに、こんなにも早く行けることになるとは、これも何かの縁なのでしょうかね。
せっかくのゴールデンウィークで各地のイベントが開催されているので、近隣の陶器市巡りをしていきたいと思います。次は波佐見か三河内あたりへ。
ひとときだけ、書を捨て、町に出ようと思います。
2014年04月7日(月) 諫早市美術・歴史館に行ってきました。
隣の市である諫早市に新しく、「諫早市美術・博物館」がオープンしたとのローカルニュースを見て、今日早速観に行ってきました。
今年3月1日にオープンとのことで、まさにできたてホヤホヤ。受付や案内係の方々の対応もなんだか初々しく丁寧で、逆に新鮮で好感が持てました。
空間を持て余してる感がまた、できたての匂いを強調しています。
現在開催中の展示は、常設展と企画展「諫早家ゆかりの品々」展。
常設展は諫早の歴史史料が主でしたが、現川焼や野口弥太郎の油絵も展示されていました。長崎で育ちながら、地元作家について無知で、野口弥太郎の絵画を観るのも初めてだった気がします。
西洋絵画に気をとられ、日本の近代洋画に関心が薄くかったのですが、野口の迷いのない軽快なタッチで描かれた風景画には、少し心惹かれるものがありました。
2階で開催されていた企画展は軸物や巻子等がありましたが、残念ながら時間がなかったのと、展示方法について目がいってしまい、作品に集中することができませんでした。
初めて使う空間なだけに、展示する側も資料の配置が非常に難しかったのだろうと推測できます。「私なら資料をこう配置する」とか、「展示構成はもっとこうしたい」といった視点で展示を観てしまい、肝心の資料をゆっくり鑑賞できないという結果に。
もっと時間があるときに、またゆっくりと鑑賞したいと思います。
黒と白を基調としたモダンな建築なだけに、展示内容と多少違和感が否めませんでしたが、エントランスの空間や使われていなかった展示室など、これからの発展を観ていくのが地元民としては楽しみな美術館です。
2014年4月6日(日) 新作・小作品制作スタート。
やっと生活のリズムが掴めてきたので、今日は庭で木材を切り、パネルを自作し、実家の部屋で小作品の制作を始めました。茨城のアトリエにほとんどの画材は置いてきたので、工具を忘れてきていたり、愛用の筆がなかったりと、やはりいつもと勝手が違い不便なことが多々ありました。
とりあえず7枚パネルを作り、2枚を描き始めてみました。
気ままな筆致と、意図せず滲み広がる色たちの共演。
枚数を重ねることで、見えてくるものもあると考えますので、
今は深く考えすぎず、純粋に“描くこと”を愉しんでみたいと思います。
2014年3月27日 またね茨城、ただいま長崎。
今日から半年ほど、地元・長崎に帰省することとなりました。
半年ほどでまた茨城に戻ってくる予定ですので、アトリエも車もそのまま茨城に置いていきます。
思えばもう4年も茨城にいるんですね。
大学院も仕事も、重く深く、得たものの多い4年間であったと思います。
まだまだ仕事も制作も前進するために、地元で力を蓄えて帰ってきたいと思います。
茨城に戻れたら、東京かどこかで個展したいと目論んでいるので、
実家で小さ目の作品を量産してきます。
I'll be back!!
2014年03月23日(日)
今日は、関東で過ごす最後の日曜日。
まずはギャラリーモアノに後期の展示を観に行きました。画像左の作品はご購入いただけたと知り、幸先の良い一日のスタートとなりました。モアノのランチと食後の珈琲も美味しくいただき、作品をゆったり鑑賞する日の昼食に相応しいものだと感じました。
モアノの後は、徒歩でそのまま上野美術館のVOCA展へ。
VOCA展は学芸員や評論家の推薦によって出品者が決まるという点が、ほかのコンクールにはない点です。賞をとっている作品はどれも説得力と独自の魅力に溢れ、納得いくものでした。緻密な円で画面を作る作家と、画面の所々に和紙を貼り付けた日本画のような色彩の作家が気になりましたが名前忘れてしまいました。。
その後、版画家の藤田修さんの展示を観に吉祥寺へ。
写真をもとにした版画作品ですが、深みのある黒と、画面の中で自由に踊る線が気になりました。ご本人とお話しすることが出来、展示構成や個展に対する考え方や、線について伺い、非常に刺激的な時間を過ごさせていただきました。
人の展示を観ると、刺激を受けて自分も展示したくなりますが、今はやるべきことをやりまがら、小作品をでじっくりと構想を練り、自分の中で完成図を作り上げて次の個展を開催したいと思います。
ただいま極小作品のみの個展を妄想中です。あくまでまだ妄想ですが。
2014年03月15日(土)
ギャラリーモアノで開催中のファミリアコレクション展後期の会場風景が主催者から届きました。
前期では一階に展示されていましたので、今回は地下階のようです。
私自身、まだ後期には足を運べておりませんが、来週あたりに少し在廊できたらと考えています。
閑静な住宅街にある、素敵なカフェが併設された温かな隠れ家的雰囲気のギャラリーです。
ぜひ、ご覧いただければ幸いです。
2014年03月12日(水)
考え事をしたい時や、心を落ち着かせたいときに珈琲って飲みたくなりますよね。
今日は地元の「寿古コーヒー」店にお邪魔しました。
珈琲のおかわりOKで、珈琲カステラ付¥500のセットを注文。
実は、長崎は珈琲伝来の地なのです。オランダ人が長崎の出島に珈琲を持ち込んだのが、日本の珈琲の歴史の始まりだといわれています。
この珈琲店の横には、日本初のコーヒー園といわれる寿古コーヒーパークというハウスがあり、そこで国産コーヒー豆が栽培され、各国産豆とブレンドされ、寿古コーヒー店で提供・販売されています。
新鮮さを感じさせる豊かな香りが印象的な美味しい珈琲です。
制作の前や合間には、気分の切り替えや息抜きとして珈琲が必須です。
学生の頃は、専ら缶コーヒーを飲んでいましたが、
最近は珈琲に凝りはじめ、豆から買いミルで挽き、じっくりとドリップし、イタリアのチャード・ジノリで買ったコーヒーカップでいただくのが、至福の時間となっています。
珈琲は、いわば止まらない思考に深呼吸をさせてくれる存在で、私にとってなくてはならないものです。
茨城に帰ったら、兄が新婚旅行で買ってきた世界一美味しいと言われる狸珈琲をゆっくりと飲んで制作に励みたいと思います。
3月9日(日)
再び、故郷・長崎へ。
生まれは北海道ですが、育ちは長崎ですのでやはり“故郷”というと長崎になります。
私はいつも、長崎へ帰る飛行機の中で読破する本を空港の書店で一冊買うのが習慣となっており、今日の一冊は日本画家・千住博の「芸術とは何か―千住博が答える147の質問」にしました。いま、他に読むべき本は数多にあるのですが、自分の興味心には逆らえないものです。
長崎へは羽田―神戸―長崎の乗継便ですので、乗換時間を含め4時間近くかかりますので、本を1冊読むにはちょうど良い時間があります。
この本を読んで、私の中の勝手な千住博像が変化しました。
失礼ですが、アニミズムと単純明快なコンセプトで一発当てた、もっと古臭い考えの人かと勝手な把握をしていました。絵自体はもともと少し気にはなってはいましたが、代表的な滝の作品を美術雑誌で目にする程度でしたので、完全に私の勉強不足です。
村上隆についてもそうですが、作品だけじゃなく文章も読んでみると、「あ、この人ってちゃんと考えてたんだ」と理解できる事が多々あります。
なかでもこの本からは、語り口もそうですが、好感が持てる部分が多々ありました。別にこの質問はこの人にする必要ないんじゃ…調べればわかるだろと思えるような微妙な質問もありましたが、一問一答式というのがわかりやすく、美術の専門以外の人にも興味を引くよう書かれた本であると思います。
なかでも冒頭の、現代アートと団体展系の作家についての表現が的を得ていると思えてしまいました。
現代アートについて、
「人間不在を嘲笑い、戦後の自主性不在を嘲笑し、わがままな不満を露わにして、心の恥部を恥ずかしげもなく晒す。あるいは神経症的でほぼ完全に精神が病んでいるような現代アートに人々が同調し、関心を寄せる社会とはいったいどんな社会なのでしょう」と述べ、
一方、公募団体展系について、
「(中略~)しかし、そんな今の時代においても、我関せず浮世離れした牧歌的な世界をこつこつと新興宗教のような集団を作っては、描き続ける画家たちもいます。自閉した内部では、おたがいに尊敬しあっているようですが、外側から眺めれば、表現者としては不完全と言わざるをえません」
ときて、
「そのどちらも、私には納得いかないのです。私は、“普通の芸術”を望んでいるのではなく、“すぐれた芸術”を望んでいるのです」と述べています。
どちらにも納得いかないという点が、非常に共感できます。
現代の油絵は二極化しており、現代アート系か、画壇系洋画かに分かれるように思いますが、現代アートとは呼ばれたくないし、公募団体展の内部評価のみで終わりたくないという思いがあります。公募団体展の最高位である委員でも、その団体の中や大学では権威や地位を持つかもしれませんが、いち作家としては果たしてどうでしょうか。
美術館に勤めて、見えてきた内実も多少あります。
私は団体展に所属して、これまで得られたものが多々あり、そこで育てられたようなものです。しかし、あの内輪で完結し、社会とは“権威”で繋がるような空気も釈然とせず、だからといって、現代アート作家と呼ばれると、小馬鹿にされたような、ハンドメイドに毛が生えたような売り絵作家のような印象が否めないこともあり、自分の考えがまとまらずにいました。
というか、います。なのでやはり、団体で切磋琢磨し、コンクールでも発表し評価される道が良いのかと思います。
本の話に戻りますが、この本で好感が持てるのは、その正直な語り口にあると思います。自己について謙遜し、謙虚であることが美しいとする姿勢に徹する本とは違い、究極の日本画に自作を挙げ、世界でもっともすばらしい美術館に軽井沢千住博美術館を挙げ、時に鋭く他者の批判をする面など、歯にちょっと薄絹を被せただけの語り口が爽快です。
芸術は人とのコミュニケーションであると、芸術に対する捉え方の範囲について、釈然としない部分もありますが、
とてもわかりやすく興味をくすぐる一冊でした。
2014年03月2日(日)
ハプニング続きの日常に抗い、調べものをしたり必要な物を買いに行ったりしてドタバタと過ごし、本日の締めは展示のクロージングパーティーで長い一日が終わりました。
パーティー参加者は筑波大の修了生や学部生が主でしたが、ほかにも他大学の方々やギャラリーの方と出会える場となりました。芸術の世界はとてつもなく広いようで、非常に狭い世界なので、同じ世界で生きる仲間に出会えるこのような機会は非常に貴重です。
嬉 しいことに、作品を購入して下さった方にもお会いすることが出来、直接作品をお渡しすることが出来ました。直接というのが初めてで、少し緊張してしまいま したが、やはり自分の子供のような作品を手にしてくださった方にお会いできたことは、一つの前進といいますか素敵な経験であり安心を得ることができまし た。
展示風景の写真を撮るはずが、本日の予定は遅延に遅延を重ね、クロージングの時間に遅れるという失態をしてしまい、すでに作品は撤去してある状態でしたので、今日の一枚はこうなりました(↑)。
3月6日からは新作二点が展示されます。今回の作品よりも一回り大きいサイズのS2号(24.0×24.0cm)二点です。
題名は≪虹の染み≫と≪桃色アポトーシス≫。
ぜひぜひご高覧いただければ幸いです。
2014年02月28日(金)
「Familiar Collection(ファミリア・コレクション)」展、会期が3月29日まで延長することが決定しました。
クロージングは予定通り行いますが、実質クロージングではありません。休廊日をはさみ、新作へ展示替えを行います。
今日はその新作2点を制作していました。
最近、長崎へ帰省したり、いろいろな事を深く考える出来事があり、一昨日茨城に戻り無性に絵が描きたくなり、仕事後アトリエに向かいました。
今回絵を描いていて思い出したことは、私にとって絵を描くことは“救い”だったという事。
小さい頃から、嬉しい事や辛いことなどがあった時には絵を描いて、自分の内に籠ったものを吐き出して解消していたなぁ、と今更ながらに懐かしく思い出しました。
それが自分の原点であり、絵を描く理由でもある気がします。
今回の二点、今の気持を込めて描いたからか、久しぶりに“絵画の神様”が下りてきた気がします。(もちろん宗教的な意味でなく)
極端に集中できた時や、無心になっている瞬間には、どう描いてもうまくいくゴールデンタイムがあります。それを最大限に持続できたら、良い絵になるのかなと思います。
作品の題名について、現代アートによくありがちな題名だけ凝った“題名ありき”の絵や、画壇系日曜画家にありがちな「平和」とか「祈り」とかしょっぱい題名を付ける人間の気が知れない(←失礼)と今まで思っていましたが、今回ばかりは少し気持ちがわかった気がします。
「祈り」とか付けたくなっちゃいましたが、理性が働き、オブラートに包み隠しました。
昨年亡くなった画家ザオ・ウーキーとかみたいに、題名を制作の日付とか記号のみにしたいと思っていた時期もありましたが、最近、題名を考えるのが楽しくなってきてしまい“甘さと少しの毒”を感じられる題名を、日々通勤中の車の中や寝る前の布団の中で思い巡らせています。
2014年02月18日(月)
現在、東京台東区のギャラリーモアノにて、「Familiar Collection展」開催中です。
このギャラリーはカフェとギャラリーが併設された一階スペースと、地下のギャラリースペースがあり、私の作品は1階入り口を入ってすぐの壁面に展示していただきました。
この企画展は、筑波大の博士後期に在籍する私達の共同アトリエメンバーが企画者となって開催に至りました。「Familiar Collection(ファミリア・コレクション)」というのは「Familiar=家族的・親しみある」といった意味で、「美術作品を身近に、親しみやすいものにしたい」というコンセプトがあります。
嬉しいことに、2点とも開催から一週間も経たないうちに購入の予約をいただきました。
今回の作品は、展覧会コンセプトを多少意識し、サイズ感やディテールにこだわることが出来た作品です。
私は普段、コンクールサイズの大作ばかりを制作しており、掌にのせて制作できるようなスケールの極小作品は久しぶりに作りました。
自分の身体を包み込むような画面との「格闘」とは違い、細部まで意識を払うことの出来る小さな世界は、作品を作り育てる「愛育」とも云える作業で、作り手の面からも展覧会コンセプトに共感する面があったのだと思います。
自分でも気に入っていた作品でしたので、自分の知らない他者がそれを共感し、「欲しい」と思ってくれたことに、純粋な喜びを感じます。
「小作品をもっとコンスタントに作っていこうかな」と思っていたところに、ちょうど昨日、企画者から連絡があり、ギャラリーから会期延長の提案がされているようです。
3月30日までさらに一か月近く会期が延びる可能性があり、クロージングの3月2日に新作を持参し、その後展示替を行うかもしれません。
昔描いた少々手法の違う小作品はすでにありますが、せっかくの延長なので今回と同じくらいの極小作品を新たに制作しようと思います。
これから制作する新作2点と展示替を行う予定ですので、現在開催されている前期・3月5日からの後期ともにご覧いただければ幸いです。
2014年02月7日(土)
本日は大雪の為、職場に出勤出来ず、部屋で作品データ整理と読書に明け暮れております。
早いもので、東京千駄木のギャラリーKINGYOで開催されていた大草原展が終了致しました。
足を運んでくださった方々、ありがとうございました。
引き続き5日から、ギャラリーモアノにて企画展に参加します。
20×20㎝の極小作品2点を展示しております。まだ私自身会場に足を運べておりませんが、他にも彫塑と絵画の作家20名ほどが参加しておりますので、見応えのある展示になっているかと思います。
ご高覧いただければ幸いです。
2014年01月24日(金)
次のコンクールに向けて、新作P50号制作中。
電気ストーブと電熱器とドライヤーをフルで使用したらブレーカーが落ち、ただいま復旧待ちです。
告知となりますが昨日から、東京千駄木のギャラリーKINGYOにて、大草原展が始まりました。
昨年描いたS30号を一点展示しています。キンギョには一昨年のDerby展からお世話になり、今回で3度目の展示となります。閑静な住宅街の中にある、とても開放感のあるギャラリーです。
お時間があれば是非足をお運びいただければ幸いです。
2014年01月14日(火)
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2013年の前半は初めての東京での個展開催、芸術の都イタリア・フィレンツェ旅行に行ったり等浮かれた事があった一方、
後半は仕事の企画展準備に追われ、PCの睨みすぎで目を痛め、手の酷使でガングリオン(手の良性腫瘍)を再発し、慣れない原稿執筆に胃を痛め、公募展は連敗と制作面では浮かない一年だったように感じます。
2014年は気持ちを切り替え、様々な葛藤を割り切り、制作に狂いたいと思います。
新年の展示第一弾は、東京・上野のギャラリーモアノでの企画展に参加します。
極小の作品2点を出品予定です。ご高覧いただければ幸いです。
昔、高校の恩師からの年賀状に一筆だけ、
「制作に狂って下さい」との言葉。いまでも胸に響いています。